2012.8.12東京キネマ倶楽部 総評
メイン終了後、突然、中島安里紗がリングに上がり、マイクをとった。その表情は深刻で、目には涙を浮かべている。
「自分は今日負けました。負けた選手がマイクを握るなんておかしいし、自分自身かっこ悪いと思ってます。でも、自分の言葉に責任をとります。だから後楽園のメインを私に任せてください」
8・19後楽園のメインは、春山香代子vs花月のJWP認定無差別選手権試合か、それとも米山香織&さくらえみ組vsコマンド・ボリショイ&中島安里紗組のJWP認定タッグ&デイリースポーツ認定女子タッグ選手権試合。
これまでの慣例から考えれば、シングルがメインでタッグがセミというのが自然の流れである。実際、この日には後楽園大会の全対戦カードが発表され、シングルのメインが基本線だった。それを承知で、中島は直談判に打って出たのだ。「JWPを背負う」。その言葉の本気度を証明するために、あえて中島はより大きなプレッシャーのかかるメインに出たいと申し出た。パートナーのボリショイといっしょではなく、あくまでも中島の単独行動であるが…。
「中島の気持ちはすごい伝わってる。中島ひとりじゃないよ、(団体を)背負ってるの。でも、そうやって言ってくれたのはうれしい。タッグは任せるから、メインで私が無差別をきっちり守る。そして、いずれメインで試合しようじゃん」
春山は中島の気持ちを尊重しながらも、結局はメインを譲ることはしなかった。7・15大阪ではタッグながら春山が花月から直接ピンフォールを奪われている。一方、中島は勝とのタッグでタッグ王座獲りに失敗、この日もさくらとのシングルマッチで敗れており、ここがダメ押しとなったのだろう。予定通り、8・19後楽園は無差別級王座戦がメインで、タッグ2冠戦がセミファイナルでおこなわれるとのことだ。
とは言え、中島はこれをバネにしてタッグ王座奪取に全力を注いでほしい。それこそ、事実上のメインはタッグだったと言わせるくらいの試合をすればいいのだ。中島は一度引退した身である。3年間のブランクがあるのは紛れもない事実。それでも中島は「JWPを背負う」と宣言した。出戻りに何ができる? そんな声もあるだろう。しかし、中島にはJWPから、そしてプロレスから離れていたからこその思いがある。そこから湧き出る感情をおもいっきりぶつければいい。
「小さな変化はあるんでしょうけど、3年前とくらべてそんなに変わっていないと思うんです。よくいえば安定しているのかもしれない。でも保守的な部分は確かにあって、さくらえみが言ってることも正しいと思うんです。私は、JWPをもっと上のレベルにもっていきたい。先輩がやるのを待っているのではなく、自分から行動しないと。確かに出戻りの1年目ですけど、ただプロレスをしていればいいわけじゃないと思うんです」
中島は団体の将来も考えて、自分がJWPを背負う覚悟でいるのだ。リング上だけではなく、選手たちを取り巻く環境のことさえも頭に入れている。「若い選手が体を作ったり試合に安心して専念できる環境を作る」。そこまで考えていたとは、正直驚かされた。
今回はセミで収まったが、次回からはどちらがメインかわからない。場合によってはシングルとタッグの順番が逆転する。そんなような状況を中島が作り出せばいい。タッグ王座奪回だけではない。8・19後楽園は、JWPの将来を占う闘いになるかもしれない重要な大会になりそうだ。 (新井 宏)
「自分は今日負けました。負けた選手がマイクを握るなんておかしいし、自分自身かっこ悪いと思ってます。でも、自分の言葉に責任をとります。だから後楽園のメインを私に任せてください」
8・19後楽園のメインは、春山香代子vs花月のJWP認定無差別選手権試合か、それとも米山香織&さくらえみ組vsコマンド・ボリショイ&中島安里紗組のJWP認定タッグ&デイリースポーツ認定女子タッグ選手権試合。
これまでの慣例から考えれば、シングルがメインでタッグがセミというのが自然の流れである。実際、この日には後楽園大会の全対戦カードが発表され、シングルのメインが基本線だった。それを承知で、中島は直談判に打って出たのだ。「JWPを背負う」。その言葉の本気度を証明するために、あえて中島はより大きなプレッシャーのかかるメインに出たいと申し出た。パートナーのボリショイといっしょではなく、あくまでも中島の単独行動であるが…。
「中島の気持ちはすごい伝わってる。中島ひとりじゃないよ、(団体を)背負ってるの。でも、そうやって言ってくれたのはうれしい。タッグは任せるから、メインで私が無差別をきっちり守る。そして、いずれメインで試合しようじゃん」
春山は中島の気持ちを尊重しながらも、結局はメインを譲ることはしなかった。7・15大阪ではタッグながら春山が花月から直接ピンフォールを奪われている。一方、中島は勝とのタッグでタッグ王座獲りに失敗、この日もさくらとのシングルマッチで敗れており、ここがダメ押しとなったのだろう。予定通り、8・19後楽園は無差別級王座戦がメインで、タッグ2冠戦がセミファイナルでおこなわれるとのことだ。
とは言え、中島はこれをバネにしてタッグ王座奪取に全力を注いでほしい。それこそ、事実上のメインはタッグだったと言わせるくらいの試合をすればいいのだ。中島は一度引退した身である。3年間のブランクがあるのは紛れもない事実。それでも中島は「JWPを背負う」と宣言した。出戻りに何ができる? そんな声もあるだろう。しかし、中島にはJWPから、そしてプロレスから離れていたからこその思いがある。そこから湧き出る感情をおもいっきりぶつければいい。
「小さな変化はあるんでしょうけど、3年前とくらべてそんなに変わっていないと思うんです。よくいえば安定しているのかもしれない。でも保守的な部分は確かにあって、さくらえみが言ってることも正しいと思うんです。私は、JWPをもっと上のレベルにもっていきたい。先輩がやるのを待っているのではなく、自分から行動しないと。確かに出戻りの1年目ですけど、ただプロレスをしていればいいわけじゃないと思うんです」
中島は団体の将来も考えて、自分がJWPを背負う覚悟でいるのだ。リング上だけではなく、選手たちを取り巻く環境のことさえも頭に入れている。「若い選手が体を作ったり試合に安心して専念できる環境を作る」。そこまで考えていたとは、正直驚かされた。
今回はセミで収まったが、次回からはどちらがメインかわからない。場合によってはシングルとタッグの順番が逆転する。そんなような状況を中島が作り出せばいい。タッグ王座奪回だけではない。8・19後楽園は、JWPの将来を占う闘いになるかもしれない重要な大会になりそうだ。 (新井 宏)
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