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    2010.5.2 板橋グリーンホール 総評 

     今大会のメインは春山&蹴射斗組vs倉垣&Leon組の純血タッグマッチ。JWPとしては試合そのもので魅せようとする、よくあるピュアな光景である。しかし、今回ばかりはかなり様子が違っていた。そこに、JWP無差別級王者の姿はない。メインはおろか、ほかのカードにもチャンピオンはいなかった。ベルトを保持するレスラーは、板橋グリーンホールのステージ上にいた。
     4・18後楽園で春山を破りベルトを巻いた奈苗は、「チャンピオン様」と書かれた“指定席”に陣取り、全試合を観戦。ステージ上から文字通りの高みの見物をしゃれ込んでいた。
    「自分からしたら、チャンピオンになったら全部出なくちゃいけないのって感じですね。自分がいなくても、それぞれがテーマをぶつけて、個人としてのヤル気や目指すものをもっと見せてほしい。この発言にムカつくヤツもいると思うけど、アタシはしばらく上から見させてもらいますよ」
     メインではとくに前王者の春山と、春山を強く意識する倉垣が奈苗に対しての敵意を剥き出しにしていた。春山は入場時からステージ上をにらみつけ、倉垣は試合中に奈苗を挑発。蹴射斗やLeonにも、挑戦の権利はあるだろう。この試合の勝者が直接、王者に向けてアピールするのではないか。それが自然の流れに思えた。
     ところが、試合後に意外な挑戦者が名乗りを上げる。JWPのリーダーともいえるコマンド・ボリショイである。ボリショイはOCCリーグ戦に出場せず、タッグトーナメントのほうに参戦していた。シングル戦線からは退いていたボリショイが、JWPの危機に立ち上がった形である。
     奈苗によると、「このベルトに外の空気を吸わせてあげたい」のだという。WAVEで桜花由美と闘うのもいいし、アイスリボンの真琴とやるのもおもしろいという。さらには「仙台にもいくんですよ」と、仙女での防衛戦まで示唆。奈苗が好きなようにタイトルマッチを組めば、JWPに戻ってくることはおろか、JWP所属選手が挑戦できない事態も考えられる。JWPジュニア王座が流出状態になっているのとは、わけが違うのだ。
     ではなぜ、ボリショイが奈苗との対戦を決意したのか。試合後のコメントはこうだ。
    「出場のオファーを断られたとき、なんて都合のいいこといってるんだろうって思ったんです。ヒザが痛いからとか、明日試合だからとか、チャンピオンとしての自覚が…。このベルトがJWPの象徴だってことをわかってないですよ。JWPの試合に出ない人間が外で防衛戦をやるとか、なにをいってるんですかね。JWPの選手がみんな頑張ってるのがわかるから、サポートじゃなくここは自分が出ていかないといけないって思いました。体力的にどうとかって問題じゃない。これはJWPの危機なんですよ。アタシが全責任を負います。いまやらなきゃダメだと思う」
     この決意にほかの選手も納得。6・13新宿FACEでのタイトルマッチ、奈苗vsボリショイが正式決定した。この試合を決定付けたのはボリショイのアピールだけではないだろう。実際、ボリショイは試合で奈苗へのアピールを狙っていた。ピコラッカと名付けられた新技は、奈苗のナナラッカと瓜二つ。もちろん、奈苗に見せつけるために繰り出したフィニッシュである。
    「いまのチャンピオンにどう印象付けるかって考えたんです。アイツがふざけたことばかりいってるから、本人の目のまえで披露してやりました。王者の権利とかいってるけど、無差別はJWPのベルトなんですよ!」
     では、ボリショイのアピールに対し奈苗はどう思っているのか。大会終了後にあらためて聞いてみた。
    「選手のみなさんは素晴らしい試合してると思いますよ。だけど、JWPは小さいというのが率直の印象。今日の試合を見て、あらためて外で防衛戦をやりたいって思いました。どんなに素晴らしいことしてても、新しい風を吹かせないと外には伝わらないし変えられない。チャンピオンになるために(リーグ戦で)全員に勝ってチャンピオンにも勝ったんだから、しっかり意見をいわせてもらいますよ。JWPのベルトがどうとか歴史がどうとか、わかりますよ。でもそのこだわりがJWPをつまらなくしてる」
     奈苗がボリショイを倒せば、団体に対してトドメを刺すことになるだろう。それだけに、6・13新宿は4・18後楽園同様、あるいはそれ以上に大事な闘いになる。奈苗は女子プロレス全体を見据えてJWPの無差別級王者にたどり着いた。一方、JWPからすれば豊田真奈美以来の他団体王者という非常事態。奈苗とボリショイ、どちらの考えが上回るのか。闘いは、すでにはじまっている。

    (新井 宏)